前回も、前々回も「ごくごく小さなこと」をちまちまと取り上げたコラムをお届けしていました。
今回は、気分を変えて国の制度に関するスケールの大きなテーマを取り上げようと思ったのですが、ある時にある些細なモノが目に入って、またまた矮小なスケールのネタになりました。
これです。
見たことが無い人は、いませんよね。
私が毎日1枚くらいは食べている、食パンの袋を閉じているアレです。
そして、これを見るとすぐに思い出されるのは、「コレの名称はなんでしょう」と問いかけて回答を示す例のネタです。
ネットを検索すると「いつも見るアレの名前」としていくつかの 知られざる名前のモノ を取り上げたサイトがいくつもあり、大体この「食パンの留め具の名前」が最初に登場してきます。
その名称は「バッグ・クロージャー」。
12へぇ くらいの「へぇ度」です。
※「へぇ度」は十数年前にフジテレビ系列で放送されていた「トリビアの泉」に由来する計測指数です。
そうしたサイトでは他にも、いろいろとトリビアな名称が紹介されています。
・靴下を買ったときにその先端を留めている小さな金具の名称は「ソクパス」。
・バッグなどのベルトの長さを調節する「日」や「目」の字のような形をした留め具の名称は「コキ」。
・靴紐の先についていて、靴穴に通しやすくする細長い金具の名称は「アグレット」。
・駅弁などで醤油をいれてある小さな金魚型などのポリ容器の名称は 「ランチャーム」。
・トイレの詰まりを治す時に使う「スッポン」の正式名称は「ラバーカップ」もしくは「プランジャー」。
・レストランでカレーのソースが別盛りで出てくるアラジンの魔法ランプのような銀食器は「グレイビーボート」。
・息を吹き込むと渦巻き型の紙がピロピロと伸びる、祭の夜店で売っている笛の名称は「吹き戻し」。
・いわゆる「プチプチ」の正式名称は「気泡緩衝材」。(プチプチは一企業が商標登録してある「商品名」)
いずれも知っておくことで「8〜15へぇ」くらいの感慨は得られるかも知れません。
とくにプチプチが一企業の商品名であり、例えて言えばソニーがかつて発売していた「ウォークマン」と同じ立場の名称であることは知りませんでした。
私が大昔、ソニーの広告制作を担当していたときに、ソニーの担当者から
「コピーの中で、『ソニーのウォークマン』という記述はしないでください。ウォークマンはソニーだけの登録商標ですので」
「『ソニーのウォークマン』と書いてしまうと、「パナソニックのウォークマン」「ビクターのウォークマン」などを容認するようなことになり、消費者に誤解を与えてしまいます」
…と、強く赤字修正を入れられたことを思い出します。
– –
食パンの袋の留め具 =「バッグ・クロージャー」に話を戻すと、これは、国内で唯一、埼玉県川口市にあるクイック・ロック・ジャパンという会社が、その生産を一手に担っているという事も、ネット上で伝えられています。
競合無し。シェア完全100%。業界一人勝ち。
ライバルが誰も居ない領域で、自社だけが提供できる製品を、ひたすら提供し続けている。
ビジネスモデルとしては、相当強いポジションを取っているようです。
:.。..。
ただ、その話を耳にして、私がふだん愛読している、或る方のビジネスコラムで書かれていたことをふと思い出しました。
それはお仕事でお世話になっている安田さんという方が、ビジネスのトレンドや企業経営の在り方などについて毎週書いてリリースしてくださっているコラム。
その、つい先日(5月末)に公開されたこの号でした。
私の目線で(ある意味で恣意的に)要約すると
同じ仕事をただ繰り返していくだけで、収益が増えるはずがない。
従業員の定期昇給もおかしな制度だし
時代の変化に応じてビジネスを変えていかない会社は衰退する。
…といった若干辛口のビジネス論でした。
クイック・ロック・ジャパン社の記事を見て、ふと思い出してしまったコラムですが、
同社のパンの留め具ビジネスの具合が良くない、などと言うつもりはありません。
記事を読むと、同社も多くの事業課題に面して、変わっていくことに腐心をされている様子が記されていました。
食パンの留め具は独占ビジネスになっているけど、留め具以外の領域から競合が出てくるかも知れない。
例えば、食パンの流通が変わるといった変化リスクもありうる。
あと、プラスチック素材でのみ生産されているバッグ・クロージャーをもっと環境配慮型の素材に変更するという喫緊の課題も出ている、とのことで世界に広がるグループ会社と共に、進化を目指しているとのことです。
私が危惧したのは、クイック・ロック・ジャパンの行く末のことでなく、私自身の仕事が進化や成長できているかどうか、でした。
広告コピー等の依頼を請けて、その目的にかなう文やテキストを生産して、仕事にする。
私は、まだこの「基本形」を超えることができていません。
もちろん、そこで考えるコピーやテキストは、いわゆる “手垢のついた表現” でなく、新しい視点や切り口を感じさせる、そして、読者(閲覧者)になんらかの新鮮な情報を伝えられるような工夫をすることは個々とがけています。
しかし、ビジネスモデルとして既存だったものをただ続けていることに変わりはありません。
「同じ事を続けていくだけでは、人も企業も衰退あるのみ」という説に、打ち克つことはできません。
広告のメディアが、デジタル領域に大きくシフトしている時代に、その広告運営システムの在り方をどうこうするような事も私にはハードルが高すぎる気もしています。
(PRメディアに、プレスリリース原稿を入稿することはなんとか感覚を掴んでいますが、Facebook広告の出稿を手配するのも、かなりブラックボックスであると感じてしまっている私です)
さらに言えば、いわゆる広告業界が昭和の昔から行ってきたビジネスモデル自体が、果たして進化しているのかといった大上段な課題もあります。
メディアがテレビからネットに変わった、Google検索ではなくInstagramやTiktokが主力媒体になってきた、というだけでは、ビジネスモデルを進化させたとは言い難いようにも思えています。
あらゆる業界でDX化が進む今の時代に、私は、そして広告業界は、どう変わっていけるのか。
なかなかすぐには答えが出せない、でも近々になんらか答えをみつけなくてはならない課題だと思っています。
今回はなかなかとりとめのない、くそつまらない真面目結論になってしまいました、スミマセン。